名曲の惑星 聴き猫ブログ

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千葉県少年少女オーケストラ 第16回定期演奏会

千葉県少年少女オーケストラ 第16回定期演奏会が行われ、千葉テレビでもその録画が放送されました。番組自体が一時間枠なので、プログラムの一部だけしか放送されませんでしたが、それでも出演した河村尚子さんや指揮の下野竜也氏のインタビュー、そしてリハーサル風景なども交えて紹介されていました。

曲目は前半がブラームスのピアノ協奏曲第1番で、後半がバルトーク管弦楽のための協奏曲」です。いうまでもなくどちらも難曲の定番みたいなもので、ブラームスの方は比較的初期の大作ですが、交響曲第一番にも通じる壮大さと切れの良さが要求され、早い話が音が細かくて難しい譜面です。

ソロの河村尚子さんですが、若くて美人ということもあり、元々は当時流行っていた(と言われている)ジャパンクラシック系のアイドル路線に混じっていた感じでしたが、その後はあっさりと雲から抜け出して第一線で活躍されている若手の大物ピアニストです。

曲はブラ一(ピアノ)ですが、この重厚さにもなぜか普通に合っていて妙に違和感がありません。この曲、その気になればかなり熱狂的な演奏もできますし、そういうのもまた珍しくないのですが、しかし若さを盾にそうした安易な華やかさには走らず、どちらかというと質実剛健というか、作品の本質を重視した内面的な演奏だったと思います。

こういう手堅さは指揮の下野竜也氏の路線でもあるので、そうした意味で今回は芸風が合っていたと思います。バルトークのオケコン(管弦楽のための協奏曲)もそうした手堅さに満ちた解釈で、もともと祝典的な雰囲気のある曲ですから、やりようによってはかなり派手に鳴らすこともできるのですが、やはりそこは無理にいじることなく、より緊密に楽譜の路線を尊重した現代的な演奏を駆使していた点が印象的でした。

少年少女オーケストラというくらいですからもちろん若い人たちですが、言うまでもなく演奏が若々しいだけでなく、素直に上手ですよね。よく言うことですが子供は上手です。なぜかって、大人じゃないからです。子供は言われたとおりにちゃんと練習しますし、自分で適当に考えて、言われたこととは別のやり方をして変な癖がついたり、あれこれ言い訳して楽をしたりしませんから。芸の世界にはこの素直さが必要なんです。

普段は老練な演奏家たちの円熟した演奏を聞くことが多いのですが、時にはこうした若々しい演奏で未来の音楽に思いをはせてみるのも悪くはありません。


千葉県少年少女オーケストラ 第16回定期演奏会
2012年03月18日(日)14:00開演 千葉県 千葉県文化会館・大ホール.
指揮:下野竜也 ピアノ:河村尚子
ピアノ協奏曲第1番/ブラームス
管弦楽のための協奏曲/バルトーク